Gunosyデータ分析ブログ

Gunosyで働くデータエンジニアが知見を共有するブログです。

クーポンを最適に届ける技術〜分析編〜

こんにちは、Gunosy Tech Labの片木(@jkatagi)です。

今回は私が現在取り組んでいるクーポン分析について紹介します。

Gunosyにおけるクーポン

Gunosyでは2018年8月からグノシー(アプリ)でクーポンタブをリリースし、同年12月から本格提供を開始しました。

gunosy.co.jp また2019年5月には掲載ブランドが100を突破しました。

gunosy.co.jp

リリースから約1年経った現在では、毎日約200前後のクーポンが配信されています。 その一方で掲載クーポン数が増えるにつれ、ユーザーに最適なクーポンを届ける必要性がでてきました。

クーポンの性質

クーポンの並び替えはランキングアルゴリズムや推薦アルゴリズムの範疇となりますが、Gunosyがこれまでメインで取り扱ってきたニュースとは性質が異なります。

例えばニュースでは毎日数百〜数千の記事が新しく作成されていくのに対し、クーポンはそこまでの量はありません。 またニュースは配信されてから日にちが経つにつれて時事性が薄れてきますが、クーポンはそこまで強い時事性はありません*1

このようにクーポン固有の性質があるため、弊社で培ってきた知見をそのままクーポンに当てはめることはできません。 加えてクーポンのランキングや推薦に関しては論文もほとんど存在しないため、まずは基本的な分析から始めました。

クーポンの分析

クーポンタブでのユーザー行動

グノシーのクーポンタブには2通りのクーポン一覧画面が存在します。

1つ目は全ブランドのクーポン一覧が表示される画面(以下リスト面とします)で、クーポンタブを開くとまずこのページに飛びます。 もう1つは各ブランドのクーポンのみを表示した画面(以下ブランド面とします)で、リスト面から各ブランドのアイコンをクリックするとこのページに飛びます。

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リスト面とブランド面(画像はイメージです)

まずはじめにユーザーがどちらの画面からクーポンをクリックしているかを調べるために、各画面別にクーポンをクリックしたユーザー数をプロットしました:

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  • 青:クーポンをその日リスト面からのみクリック
  • 赤:クーポンをその日ブランド面からのみクリック
  • 緑:クーポンをその日リスト面・ブランド面両方クリック

この図を見ると日毎に多少の入れ替わりがありますが、五分五分の割合でそれぞれの画面からクーポンを利用していることが分かります。

クーポンの時間依存性

続いて一日のクリック分布を時間ごとに見てみます:

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図を見ると12時・18時にピークがあり、お昼の時間帯や夕食の時間帯にクーポンが使われていそうという直感とも一致します。 また朝方にも8時前後にも小さな山が存在します。

これらに着目し実際に各時間帯でよくクリックされている(すなわちCTRが高い)クーポンを調べてみると、朝の時間帯には朝食向けのクーポンが、昼の時間帯にはランチ用のクーポンが高くなっていることが分かりました。 このように各クーポンには時間依存性があるので、それらのクーポンを適切な時間帯に並び替えることによってとクリック数が上昇すると予想されます。

ユーザー属性別のクーポンCTR上位

次にユーザー属性に着目し、各クーポンのCTRを調べてみました。 結果としては例えば10代は学生限定のクーポンが高かったり、50代男性ではうどん系のクーポンが人気ということなどがわかりました。

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これらの傾向もロジックへの活用が期待されます。

位置情報の可能性

最後に位置情報に着目してみます。 クーポンはニュースと違って実際にお店に行って使うことが想定されます。 しかし店舗の分布には空間的な偏りがあり、ある都道府県には存在しないクーポンというものもあります。 そうするとユーザーの位置情報に基づいてクーポンを出し分けた方が、実際の利用時に便利になります。

例えば以下の図はユーザーの位置情報と、とあるブランドの最寄りの店舗との関係を算出したものです。 f:id:jkatagi:20191001182113p:plain

二本の赤色の線が東京・大阪を表しており、青色の線が茨城を表しています。

この図を見ると東京や大阪といった大都市では数 km県内に当該店舗が存在するのに対し、茨城では10数 km先まで行かないと当該店舗が存在しないことが分かります。 以上を踏まえ実際の店舗の分布やユーザーの位置情報に基づいて適切なクーポンを出し分けることによって、より使いやすいアプリになることが考えられます。

おわりに

本記事ではクーポンというニュースとは一味違った情報の分析結果の一部について書きました。 今後は位置情報の活用やパーソナライズの強化を図ることにより、より最適なクーポンを届けることを目指していきます。

弊社ではニュースを含め様々な情報をユーザーに最適に届けるために、分析から機能開発まで一貫して行っています。 興味のある方は是非ご応募ください。

*1:もちろん流行りの商品のクーポンが登場すれば時事性は強くなりますが、毎日繰り返し使えるようなクーポンのように長く使えるクーポンも多く存在しています。