はじめに
こんにちは。Gunosy Tech Lab BIチームに所属している新卒 田辺です。
今回は21卒新卒ブログの第二弾として、私がマーケティングチームに修業に行き、BIチームに合流するまでを紹介しようと思います。第一弾はこちらから読めます。
(※ちなみに配属ガチャを外した話ではありません。)
data.gunosy.io BIチームはユーザーの行動分析や経営の意思決定支援を主な業務としています。ただデータを集計するだけでなく、プロダクト開発のための仮説立てや検証、施策のマネジメントなど幅広い場面で会社の意思決定に貢献しています。
なぜマーケティングチームに配属された?
大学院ではNLP系の研究をしていましたが、マーケティングも面白そうだなといった漠然とした興味がありました。 マーケティングの経験はないものの、就職活動中に何人かのマーケターの方に話を伺ううちに、性格的にミーハーなことやユーザーが欲しい物を想像する仮説立て・戦略的なことが好きな性質と相性が良く、より興味が強まりました。そういったことをGunosyの面接でも話していたところ、「じゃあ行ってみる?」とサクッと機会をいただき、内定者インターン期間も含めて1ヶ月半ほどマーケティング修行をすることになりました。
「思ったよりも簡単に配属してもらい、データ分析と直結しなそうなのに良いのだろうか...?」と逆に不安になりましたが、実はデータ分析をするためにも重要な配属でした。
なぜかというと、データ分析をよりよく進めるには、人の動きも含めたデータの生まれる仕組みや業務内容を知る必要があるからです。
マーケティングチームの業務を通してデータが生まれるところを実際に経験することで、
- より筋の良い仮説が立てやすくなる
- 分析結果がどう使われるのか想定しやすくなる
ようになり、よりよい分析ができるようになることが、配属の理由でした。
マーケティングチームでやったこと
グノシーのマーケティングチームはどんな仕事?
グノシーのマーケティングチームではグノシーアプリをインストールしてもらうための広告づくりと広告運用をしています。またアプリに追加する機能の企画なども担当する部署です。 広告づくり・運用では、以下の3つの指標(KPI)が重要になります。
一言でいうと「より効率的に、より多く、より長くたくさん使ってくれるユーザーを集める」チームです。
広告が配信されるまで
1: 訴求を考える
まずグノシーをインストールするとどう嬉しいのか、のメッセージを決めます。
獲得したいユーザー層やアプリに追加された新機能、季節性などから、より多くのユーザーに刺さるコンセプトと伝え方をディスカッションしながら決めます。
私が入った時期では、アプリ内上段に表示される記事を短く簡潔なタイトルにリライトして表示するアップデートがあったため、それに関する訴求を考えました。
2: クリエイティブを考える
訴求内容が決まったら、次は具体的な広告に落とし込んでいきます。
広告の要素として、マーケティングチームでは以下のようなものを考えます。
- 画像
- 画像の大まかな方針
- 画像の色味
- 画像内の文言
- 画像の上下に表示されるテキスト (メインテキスト/サブテキスト)
多くの広告が配信されている中で、どうやって自社の広告に気づいてもらえるか考えるには、論理的思考だけでなく遊び心も必要で、とても頭の体操になりました。
こちらが実際に運用されている画像の例です。専門のデザイナーが作ってくださるですが、おおまかな方針から目を引く広告を生み出せるデザイナーの技術に頭が上がりませんでした。
3: 広告配信サービスに入稿する
広告ができたら、広告を配信する際の課金形態や入札額を設定し、広告を入稿します。
4: 広告を運用する
配信され始めた広告は、おおよそリアルタイムで獲得人数やかかったコストが分かります。
そのため毎日広告の配信状況を確認して、細かく設定を調節していきます。
広告の配信状況には、以下のような要素があります。
- Impression: 広告が表示された数
- CTR(Click Through Rate): 広告を見た人がクリックする割合
- CV(Conversion): 最終的な成果の数。グノシーではインストールがCV。
- 入札額: 広告枠を獲得するためにセリをする際の金額
これらの要素はお互いに影響を受けあっていて、クリックやCVがされるほど広告配信アルゴリズムが学習され、より効率よく多く配信されるようになります。そのため以下のような方法で配信状況を改善していきます。
- Impressionを増やすには: 入札負けしないように入札額を上げる
- CTRを上げるには:
- よりクリックする可能性の高いユーザーグループに限定する(ターゲティング)
- より魅力的な訴求・クリエイティブに改良する
- Impression、CVを増やして広告配信モデルを最適化する
インストール数とコストの観点で見ると、広告配信のフェーズは以下の図のようになっています。 Y軸は一人あたりの獲得コスト(ここではCPIと同義)、X軸は獲得したユーザーにかかったコストの合計値で、円の大きさがCV数の大きさを表します。 マーケティングチームでは毎朝KPIと配信状況に関する数値を確認し、図の中でどのフェーズにいるのかを見定めて入札額や日予算の調整を行います。 初めは数値を見ても何をすべきか分からなかったのですが、チーム内でオンボーディングに使われるアクションシートを活用することで徐々に理解できるようになりました。 毎朝の数値確認後、自分なりに各媒体でどういったアクションを取るべきかをシートに書き出し、それを先輩が添削する、という作業を毎日繰り返します。 このアクションシートで何度も数値の見方を実践・改善することで2週間後にはかなり何をすべきか理解できるようになりました。
マーケティング修行を終えて
実際に広告づくりから運用までを体験したことで、自社の広告が生まれる過程の解像度が上がり、はじめに説明した仮説・分析結果の使い方の想像力がついたと感じています。 しかしそれだけでなく、広告の先にいるユーザーのイメージを掴むことができたことがとてもよい経験になりました。
またBIチームに合流してから分かったのですが、オンラインで相談する際にマーケティングチームの方々の人となりが分かっているため、話しかけるハードルがかなり下がったことも収穫でした。
BIチームに合流してから
1ヶ月半ほどのマーケティング修行を終えて、BIチームに合流しました。もともと5月ごろから合流する予定ではあったのですが決められた日程はなく、「GW明けくらいからでOKですか?」-「OKです!」くらいで合流させてもらいました。ここでも会社のイメージ以上に簡単に合流したことに驚きました(笑)
OJT
1ヶ月遅れでUdemyを使ったエンジニア研修を進めつつ、実戦的な業務も始まりました。私の業務はマーケティングチーム用のダッシュボード作成で、前述のKPIやそれをさらに年代/性別/OS/媒体などで細分化し、ひとまとめに確認できるようにするものでした。
初めに困ったのが、「集計のやり方は分かるけど使うデータがどのテーブルにあるのかわからない...」ということでした。
GunosyのSlackでは#質問_このデータどこですか
チャンネルがあり、「xxなデータはどのテーブルですか?」など質問すると、知っている方が教えてくれる仕組みになっています。OJTの初期ではこのチャンネルに非常にお世話になりました。
他にもtimesで質問・相談をこまめにできたり、Redashで似たクエリを検索し読むことで知らなかった関数や読みやすい書き方を学ぶことができました。
担当したダッシュボードには非常に多くのグラフが詰まっているのですが、それらを一つづつ作成し、
クエリ・可視化の両面でレビュー→修正→ボードに追加
を繰り返しました。
ダッシュボード作成ではこのサイクルを短期間で何度も行うことができたので、間違えやすいポイントや無駄なデータ抽出の避け方(partition key、left/inner joinの使い分けなど)などを早い段階で身につけることができました。
一方でクエリの間違いが残ったまま完了としてしまうミスもありました。。。このとき会長の木村さんから直接ご指摘をいただき、非常に反省しました。広告予算は個人では見ることのないような額を使い、経営的にも重要な判断になるため、指標が間違いだった場合の影響範囲が大きいことを痛感しました。(具体的な原因はクエリレビュー依頼の漏れと、タイムゾーンの設定ミスでした。)
で、マーケティング修行は活きたのか?
マーケティングチームの数値確認の流れを体験していたため、「まずこの数値を見て、もし芳しくなかったら次はこれを見るだろう」といった使い方の想像がとても行いやすかったです。 そのためダッシュボード内のグラフの並びや配置を簡単に決めることができました。
ダッシュボード以外の業務として、分析Dayでもマーケティングチームでの経験が活きたと感じています。 分析Dayとは、BIチームで月2回、個人がやりたい分析テーマや手法を半日かけてトライする日です。 分析テーマを考える際に、例えば「マーケティングチームではなるべくリアルタイムに決断を支える指標や予測が出ていると嬉しい」ことが分かっていたので、「長期的なログを使わずに初日のユーザー行動からSalesが予測できたら嬉しいだろう」といったテーマ決めをすることができました。
最後に:入社4ヶ月を振り返って
もう4ヶ月も経っているのか、というのが正直なところですが、以下のような様々な面で恵まれた環境で働かせてもらっているなぁと思っています。
- 想像を遥かに超える柔軟な配属
- 思った以上に重要な仕事を任せてもらえる
- 社員の方々が皆優秀
- 勉強会など知識・技術を身につける機会が豊富
また学生時代にはなかった視点がついたり、ふわっと持っていた考え方がよりブラッシュアップされたと感じています。
- New!: 広告の意図を考える
- 広告を意識して見るようになりました。どういった狙いでこの広告を作ったのかを考えるようになり、新しいモノの見方がつきました。
- New!: 空雨傘
- 分析は単にデータを整形する(空:曇っている)だけではなく、結果を解釈し(雨: 曇っているから雨が振りそうだ)、対処法を考える(傘: 傘を持っていこう)という考えは入社してから初めて知りました。
- 自分は特に傘の意識が足りていないので今後の注力ポイントです。
- イシューからはじめる
- 安宅和人氏の著書で、「目の前の課題を丁寧に・早く答えを出す事以上に、どの問題(イシュー)を解くかの選定が重要だ」という考え方を説いた本です。
- 分析時の問題設定や実験方法などで意識するようになりました。
- 仮説を持って分析する:大学院での研究でもこの考え方はありましたが、ユーザーや施策を踏まえた議論・指摘により解像度が高くなっているように感じています。
- とはいえまだまだ「イシュー」が見えないときも多いのでレベルアップしていきたいです。
まだまだ足りないスキルも多いですが、成長していけるように頑張ります!
以上新卒ブログ第二弾でした!次回もぜひご期待ください!